人工衛星自律化のための





1. はじめに
2. 開発方針
3. システム構成
4. 計算機によるシミュレーション
5. 結論
6. おわりに





1. はじめに

宇宙開発・情報通信・生産・物流など様々な分野で使われている制御システムは、 近年、大規模化・複雑化の傾向にある。これらのシステムの規模が拡大し、複雑性が 増すにつれ、人間が管理・運用する従来の方法では人間の能力の限界が 表面に現れ、許容時間内に解を見つけることが困難になる。 これを避けるために人間の直接介入をできるだけ 減らすことが必要である。そのためには自律性のある情報システムを開発することが 不可欠である。
本研究では、特に人工衛星の自律化の問題を例にとり、限られた時間の中で 自律的に解を探索する情報システムの開発を目的とする。




2. 開発方針

人工衛星自律化の目的と必要な機能とは多岐にわたっている。本研究では 運用シーケンスの生成に焦点をあて、運用シーケンスを自動的に生成するシステムを 開発する。
人工衛星運用中に発生する状況をすべて予測することは不可能である。 つまり、人工衛星は未知の状況に適応せねばならないシステムである。 このように事前に全状態に対処する方法を準備できないシステムを制御するには、 知識をルールの形で蓄え、状況に応じて適切と判断されるルール群を用いた 推論を行いながら、システム全体を制御していく能力が必要であると考えられる。 このシステムの実現には、知識ベース・システムに基づく実時間制御システムが 適していると考えられる。
そこで本研究では本研究室で開発された論理型プログラミング言語 Real-Time Reasoning Control System (以下、RRCS と略称) を 用いて、運用シーケンス自動生成に関するシステムを開発する。



3. システム構成

人工衛星の運用には、様々な制約がある。電力や燃料などの エネルギー資源、通信用リンクの本数、地上との通信ができる可視時間帯などの 制約である。運用シーケンスの生成は、これらの制約を越えないように 行われなければならない。また、制約を越えるような状況では、運用シーケンスを 再構成できる事が期待される。本研究では、電力の上限という制約に限定する。 この電力の上限という制約の元で、 運用シーケンスの生成と再構成を行うシステムを構築する。
構築するシステムの処理の流れは以下のようになる。


このシステムの開発に論理プログラミング言語である RRCS を用いている。 RRCS のプログラムは、述語論理に 基づいて、ファクトの提示、ルールの提示、推論の起動の3つの機能に 大別される。システムもこの3つの機能から構築する。



4. 計算機によるシミュレーション

データとして、オペレーション名と作業名・作業時間・作業と作業の 間隔時間・各作業の消費電力を与え、運用シーケンスの生成や消費電力の 計算を実行した。ここでのオペレーションとは、連続する複数の作業から構成される 作業列を指す。
また、電力制限を設定し、これを越える場合には調整案を提示した。


シミュレーション例

図1: 与えるパラメータ(作業時間・間隔時間)



以上の条件下での実行結果は、図2・図3 の様になる。


図2: 調整前


図3: 調整後


5. 結論

開発したシステムを用いたシミュレーションで、 運用シーケンスの生成と、電力制限を越える場合の調整案の提示とを実行できた。 本システムを構成するステップのうち、 「運用シーケンスの生成」、「開始・終了時刻のリスト化」、 「各時刻における電力総量の計算」、「電力制限を越えるものの抽出」は、 複数のオペレーションに対して実行できた。 本研究でいうオペレーションとは、複数の連続する作業から構成される作業列を指す。
また、「電力制限を越える場合の 調整案の提示」については、2つのオペレーションに対して実行することができた。



6. おわりに

運用シーケンスの生成や調整などを実行することはできた。 しかし、解決しなければならない問題はまだいくつかある。 これらを、今後の課題として以下に示す。




Back