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研究内容:無人搬送車の広域走行経路に関する研究


従来の生産システムは,プラントや単純機械生産にみられるように,定型作業を行う機械ごとに一貫生産ラインシステムが広く用いられてきた. しかし,近年では消費者嗜好が多様化し,市場環境の変化のスピードも早くなっている.これにともなって,生産システムも多品種少量生産に対応できるものが必要とされるようになってきている. そのため工作機械の汎用化および生産ラインを固定しないような搬送システムの開発と言った生産技術の向上によってFMS(Flexible Manufacturing System)と呼ばれる柔軟に生産工程が組める自動生産システムが考案された. FMSとは,数値制御(NC)工作機械・ロボット・自動搬送装置・自動倉庫などを有機的に結合、集中管理して製品の加工,物流,組み立てを無人かつ様々な製品に対して行うことを目指したものである.
FMSにおいて搬送システムは製品の生産効率に深く関係している. これは製品および部品等を搬送するのにかかる時間を短くする事が製品の完成までにかかる時間を短くすることにつながり,工場全体の生産効率を向上することにつながるからである. 搬送システムを大別するとコンベヤ系と無人搬送車系に分けられるが柔軟な搬送システムとして無人搬送車(AGV:Autonomous Guided Vehicle)が用いられる. 無人搬送車は搬送能力で固定設備に劣るものの,軌道配置の変更がしやすく,生産現場の規模に応じて無人搬送車の投入台数を増減することによって搬送能力を容易に調整することができる. しかし,同一フィールド内に複数の無人搬送車を投入した場合,ある無人搬送車が最短経路で搬送しようとして他の無人搬送車の経路の妨げになり搬送能力を下げることもありうる. 無人搬送車が他の無人搬送車の経路を無視したのでは搬送効率を下げ,ひいては生産システム全体の効率低下をも招く.
また,無人搬送車を用いる場合,走行させる経路を単方向にするか双方向にするかの問題がある. 双方向にした場合は,最短経路を通ることができるが経路制御が非常に複雑になる. 単方向にした場合,対向する無人搬送車がいないのでたくさんの無人搬送車を数珠繋ぎで走行経路を通せるので搬送量があがるという利点があるが,最短経路を通ることはできず,巡回路が必要となり軌道の設置面積が大きくなる.


本研究では,複数の無人搬送車が運用されている広域の状況下において,個々の無人搬送車は効率が悪くとも搬送システム全体としてみると目的地まで効率よく搬送できる経路を割り当てる走行経路制御システムの構築を目指す.
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